Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
「どうかしたのか?」

「……なんでもない、です」

笑顔を貼り付けて答えた私の気持ちに、彼は気づいていない。

世界が絶望に沈んでいく。
最後の望みの糸を断たれて。

あんなに待ち望んだラーメンは、なんの味もしなかった。



午後からは普通を装って最後の仕事をこなした。
刻々と私の自由時間は減っていくが、もうどうでもよかった。

「愛乃、話がある」

「……はい」

高鷹部長の顔なんて見たくない、そう言えたらどんなに楽なんだろう。

部長室に呼ばれてふたりっきりになり、勧められてソファーに座った。
彼とここで、こんなふうに話すのは、ここに配属になったあの日以来だ。
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