Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
高鷹部長が眼鏡の奥から、じっと私を見つめる。
きっとそんなつもりはないのだろうが、責めるような瞳に内心、冷たい汗をかいた。

「私は」

もう諦めないと決めたのだ。
だから今日、ここに来た。

一度小さく深呼吸し、彼の瞳をレンズ越しにまっすぐ見つめ返す。

「私はもう、諦めません。
春熙とも結婚しません。
だって私は……高鷹部長が好き、だから」

精一杯笑って、はっきりと言い切った。
凄く気分がよくて、こんなにすっきりしたのはずいぶん久しぶりだった。

「愛乃……」

高鷹部長がテーブルから身を乗り出し、私へと顔を近づけてくる。
その両手が私の顔を挟んだかと思ったら、唇が重なった。

「……」
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