Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
「私をここから……ううん、なんでもない」

曖昧に笑って言いかけた言葉を飲み込んだ。
坂巻さんが春熙に逆らうなんてありえない。
だって彼はいつも、春熙のイエスマンだ。

「さようでございますか」

「うん、紅茶のおかわり、もらえるかな」

「かしこまりました」

切ったパンケーキにたっぷり生クリームをのせて口に押し込む。
この吐き気がしそうな程甘ったるい味に、慣れるしかないのだ。



「ただいまー」

「おかえりな、さい」

夕方になって春熙が帰ってきた。
終業時間からすると帰りが早いんだけど……もしかして、早退でもしてきたのかな。

「いい子に……してなかったみたいだね、愛乃」
< 286 / 340 >

この作品をシェア

pagetop