Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
春熙ははぁっと短くため息をついて、仕方ないなとでもいうように笑った。

「愛乃がそれでいいならいいけど」

これからの行動はひとつひとつ慎重に考えなきゃダメだ。
たったこれだけのことで、他の人に迷惑をかけてしまう――。


食事の後、私の前に広げられたのは婚姻届だった。

「お義父さんには愛乃の誕生日に併せてって言われたけど、そんなの待ってられないよ。
……また、邪魔が入るかもしれないし」

すでにそれの保証人の欄には、父とおじさまのサインがしてあった。

「愛乃もサインして?」

「……はい」

もう春熙が埋めてある、夫の欄の隣――妻の欄にサインする。
でもその字は、酷く震えていた。

「じゃあこれは明日提出するね。
そうそう、今日さ、高鷹の奴が僕のところに来たんだよ」
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