Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
おそるおそる伸びてくる手は抑えきれない感情で細かく震えていた。

「本当に、愛乃だ……」

ぎゅーっと抱きしめられると、征史さんの心臓の音が聞こえてくる。
とくん、とくんと不安げなその音はそれだけ彼に心配をさせたのだと、胸が締め付けられた。

「怪我、しているじゃないか。
病院に……」

征史さんの手が私の頬の切り傷に触れる。
でもいまは、そんな時間はない。

「まさくん……高鷹部長に大事な話があって」

「……なんだ?」

姿勢を正し、まっすぐに彼を見つめる。
征史さんも気づいたのか、仕事の顔に切り替わった。

「東藤本部長が、高鷹部長を陥れようと計画しています。
今日の会議で東藤社長たちの背任行為を高鷹部長になすりつけ、会社を追放するつもりです」

みんながざわめく。
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