Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
地を這う征史さんの声に橋川くんは小さく悲鳴を上げ、がたがたと震えだした。

「だ、だって、どうせすぐにわかることですし。
早くわかった方がいいかなー、って」

はぁっ、小さく征史さんがため息を落とす。

「それもそうだな。
……上層部の退陣が決まり、次の社長には俺が就任することになった。
しばらくは引き継ぎなどでばたばたすることになると思うが、よろしく頼む」

「はい!」

みんなは嬉しそうだけど、私にはいまだに、状況が飲み込めない。
上層部が退陣って、父は、おじさまは、春熙はどうなってしまうんだろう……?

「愛乃、話がある」

「はい」

征史さんに連れられて隣の部長室に移動する。
促されてソファーに座ると、征史さんは私の隣に座った。
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