Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
あやすように私の髪を撫でる征史さんの手は優しくて、ますます現実感が遠のいていく。

「私まだ、夢を見ているわけじゃないんですよね?
これ、現実なんですよね?」

「夢じゃない、現実だ。
もし夢だったとしたら……もう二度と、目覚めないでいい」

「……まさくん?」

私の顔を両手で挟み、親指で涙を拭う征史さんの目は、泣きだしそうに歪んでいる。

「たった二日でも気が狂いそうだった。
君を守ると言った自分の方が守られて、情けなくて悔しくて、自分自身を殴り殺したくなった」

「……うん」

心細げに震えている征史さんの身体に触れると、怯えるようにびくんと小さく揺れた。
かまわずに私にしてくれるみたいにぎゅーっと抱きしめる。

「もう二度と愛乃を手放さない。
今度こそ絶対に、君を守ってみせる」

「……ありがとう、まさくん」
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