夜の世界に舞う
「ねえ、どうして今日来るって分かったの?」
だって昨日の営業前に誘ってもらえたのに。
「んーー、華ちゃん指名の幸太郎かな?」
中で情報は交換されてるってことか。
「あーね。」
「それ聞いてわざわざ着物を着たいって言い出したんだよ。あいつおもしろいよねー。」
そう言って笑う琢磨くんはイタズラっぽい笑み。
「なんそれー。わけわかんないね。」
適当に合わせて微笑んでおく。
「え、本気でゆってんの?」
急に真顔になる琢磨くんにこっちまでも真顔になるじゃん。
「ん?なにが?」
「だーかーら、着物。あの着物本当は成人式で着る予定だったんだって。そのために作ってたんだよ。わざわざあの色を選んで、小さい桜も入れている。ここまで言えばわかる?」
やっぱり偶然じゃなかった。
なにそれ、、
やっぱ涙が溢れちゃうよ。
「最後に見れて良かった。」
漏れた言葉を琢磨くんは聞き逃してはくれない。