王子様は甘いのがお好き
社長の躰から漂っているいつもの香りを感じながら、私は額に唇を落とした。

次はまぶた、鼻先、頬、口元の順番に唇を落とした。

好きです、愛しいですと全ての感情をこめて、彼に何度もキスをした。

それから最後に、
「――ッ…」

社長と唇を重ねた。

私はこの人が好きだ。

この人のことが大好き過ぎて、もうどうにかなってしまいそうだ。

唇を離すと、社長は目を開けた。

「たくさんキスをしてくれるとは思わなかったよ」

社長はクスッと笑うと、額に唇を落とした。

「…やり過ぎましたか?」

そう聞いた私に、
「ううん、君らしくていいと思う」

社長は答えると、今度は頬に唇を落としてきた。

私らしいって何だ、私らしいって。
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