『One more Love♡』
『カランカラン…』

「いらっしゃいませ~。よろしかったらお伺…って…あらぁ?」
「えっ?…あっ」
「確か…五十嵐さんだったわよね?」
「はっ,はい。乃木様,先日は,ありがとうございました」
「乃木様は,やめて?今は,ここのランジェリーショップの店長よ?後,お礼を言うのはワタクシの方よ?あなたのしてくれたネイル,家族にも,スタッフにも人気なのよ」
「そうなんですか?」

乃木様…もとい…乃木さんは,ご機嫌にそう言う。

「それで,今日は?」
「あ…その下着を何個か欲しいなぁ~っと思いまして…」
「なるほど。サイズは?」
「えっ…」
「これも何かのご縁でしょうから,ワタクシが対応させて頂きます。」

乃木さんは,営業スマイルをしながら〝それでサイズは?〟っと再び尋ねて来る。

「えっと今は…」
「前,いつサイズ測りました?」
「もう随分前の事で覚えてないです…」
「なら,サイズ測ってから,お選びしましょう」

乃木さんは,そう言うと,メジャーをポケットから取り出して,フィッティングルームまであたしを誘導し,テキパキと採寸をした。

「五十嵐さん,サイズだけど,ワンサイズ上げた方が良さげね」
「えっ?」
「今のブラ,真ん中が浮いてきたりとかしてない?」

あたしは,一瞬考える…。

「言われてみれば…」
「なら,やっぱりワンサイズ上げるべきよ。今よりバストの形が綺麗に見える様になるわ」
「……」
「デザイン的には,この辺りのブラかしら…」

乃木さんは,数点ブラとショーツのセットをチョイスして,あたしに手渡してくれた。

「そこのフィッティングルームで試着してみて」
「は,はい」

あたしは,乃木さんに言われるがままフィッティングルームでブラを試着したのだ。
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