【最愛婚シリーズ】俺に堕ちろ~俺様社長の極甘な溺愛包囲網
「その仕事はいいから、もう帰りなさい」

「え、でも……」

「彼、外で待ってるわよ」

「えっ!?」

大声を上げてその場に立ち上がったわたしを、フロアにいる面々が何事かと見てきた。

しかしそんなことはお構いなしに、わたしはデスクの引き出しにいれてあるバッグをひっつかむ。

「よかったわね」

「はいっ!」

芽衣子さんに見送られて、わたしはフロアを飛び出した。

バタバタと廊下を走るなんて、迷惑だってわかっている。

けれど駿也が待っていると思うと走り出さずにはいられなかった。

通用口から飛び出すと、社内恋愛をしていたときと同じように駿也が立っていた。

「ひより」

いつもならそこで軽く手を挙げてわたしが駆け寄るのを待っている彼だったが、今日は向こうから駆け寄ってきた。

そして抱き着いたわたしを抱きとめると、その腕に力をこめた。

「待たせて悪かった」

わたしは駿也の胸に顔をうずめながら、頭をふって否定した。

ぽろぽろと流れ出る涙で彼のスーツにはシミができていた。

彼の強い腕に抱かれて、やっと気持ちが落ち着いた。

でも今までの反動か離れられなくて、彼の背中に回した腕には力を込めたままだ。
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