【最愛婚シリーズ】俺に堕ちろ~俺様社長の極甘な溺愛包囲網
「ここ、よく来るの?」
「家族ぐるみで世話になっている店」
お品書きを眺めて「鱧の煮こごりか……旨そう」といいながら軽く教えてくれた。
家族で来るお店? そんなところに連れてきてもらってよかったのかな。
なんだか余計に緊張してしまった。
「どうぞ」
「あ、ありがとうございます」
目の前にはビールの瓶を持って千代子さんが立っていた。
わたしが慌ててグラスを差し出すと、ゆっくりとビールを注いでくれる。
目の前には突き出しに、夏野菜の煮浸しが出されていた。
皆川くんがグラスを差し出して「おつかれ」と言ってグイッと飲んだ。
わたしも喉が渇いていたので、さっそくいただいた。外を歩いて暑かった体に、ビールが染み込むようだ。
「はぁ、おいしい」
色々考えていたことも忘れて、素直な感想を言うと皆川くんが笑った。
「ここは飯も旨いから。適当に頼んでいい?」
「うん」
わたしの返事を聞いてから、皆川くんはあれこれと色々と注文してくれた。
運ばれた料理をあれこれ食べて、おなかが少し落ち着いていい感じにお酒が回ってきた頃に、わたしはどうしても聞きたかったことを聞いた。