【最愛婚シリーズ】俺に堕ちろ~俺様社長の極甘な溺愛包囲網
「どうして、今日わたしを誘ってくれたの?」
わたしの質問に皆川くんは、手元にあった日本酒をひと口飲んでから答えた。
「俺の快気祝い」
「ずいぶん前から元気そうに見えたけど」
「すっかり元気になったんだから、快気祝いで間違っていないだろ?」
「たしかにそうだけど、だったら、やっぱりわたしが払わないと」
間違ったことは言っていないつもりだ。
「そんなことしたら千代子さんが『お代はいいです』なんて言い出すだろ。
そうなったらこの店が潰れてしまう。責任とれるのか?」
「そんな話あるわけないじゃない」
わたしたちの会話をカウンターの中で聞いていた千代子さんはクスクスと笑い出した。
「ここは駿也さんの言う通りにされていたらいいですよ。うちの店が潰れても困りますからね」
「あ……では、そうします」
皆川くんの言っていることが正しいとは到底思えないけれど、結局多数決で落ち着いた。
いつまでも押し問答していていたらお店にも迷惑がかかってしまうだろうし。
やっと折れたわたしを見て、皆川くんが笑った。