【最愛婚シリーズ】俺に堕ちろ~俺様社長の極甘な溺愛包囲網
「そうとなれば、あとはふたりで色々相談してくれればいいから。日程とかの概要については、そこの紙にかいてあるから、よろしくね」
「あの、部長……」
部長はわたしの肩をポンっと叩くと、話なんてまったく聞いてくれずにそそくさと応接室を出て行った。
しばらくドアを見つめていたけれど、いつまでもそうしているわけにはいかない。
思わず大きなため息をついてしまった。それを駿也がとがめる。
「お客様の前でため息なんて、失礼じゃないか?」
「ええ、お詫びします。失礼しました、皆川様」
毅然と言い切ったわたしを見て、駿也は口の端だけを上げて、まるでわたしを挑発するようにして笑った。
彼に向きなおったわたしは、キッと彼をにらみつける。
「どういうことですか? なんでわたしを指名したりしたの?」
仕事相手に対する態度としてはあるまじきものだけれど、我慢ができなかったわたしは早々に彼につっかかった。
しかしそんなわたしの態度にも、駿也は悠々とした態度で笑みを浮かべるばかりだ。
「どうしてって? 適任だと思ったから」
「うそでしょ、嫌がらせだわ。変な噂がたったらどうするの?」
「変な噂って、俺とひよりの個人的な関係のことか? だったら大歓迎だ」
駿也の答えを聞いて、頭が痛くなる。