【最愛婚シリーズ】俺に堕ちろ~俺様社長の極甘な溺愛包囲網
それにここには駿也との思い出が多すぎる。
初めてふたりで食事をした場所。彼が仕事で遅くなってずっと千代子さんに話を聞いてもらっていたこと、ケンカの仲直りも職場で渡せなかったバレンタインチョコをこっそりと渡したのもここだ。
ふと色々な思い出が頭の中をよぎる。
「ひより、聞いてるのか?」
「え、ああ。うん」
駿也の声で現実に戻る。
本当はまったく話なんて耳に入ってきていなかったけれど、適当に返事した。
「じゃあ、俺が何の話をしていたか言ってみろ」
「え? ああ、あの……あれ」
駿也はお見通しなのだ。わたしが心ここにあらずだったことを。
「お前なぁ、嘘ついたって俺にはわかるんだからなっ」
「痛いっ」
額をパチンと指ではじかれた。
「だからセミナーのことだけど、顧客層はどういった人が多い?」
「これまでの傾向だと、やっぱり仕事を定年されたぐらいの方が多かったの。
でも今回は皆川くんが講師となると、少し客層もかわるのかなって」
「そうか、参加者に合わせて話の内容をいくつかパターンを考えておいた方がいいな」
「そうしてくれると、大変ありがたいです」
「そうだな、その方向だと……」
色々と出してくれるアイデアは、どれも目新しいものでうちの会社の顧客層を知っているだけあって、的確かつ斬新だった。