【最愛婚シリーズ】俺に堕ちろ~俺様社長の極甘な溺愛包囲網
自宅の最寄り駅から徒歩で帰っていると、スマートフォンが着信を告げた。

とっさに駿也だと思ったわたしは、ディスプレイに兄の名前があるのを見てため息をついてから応答する。

「お兄ちゃん、どうしたの?」

《ひより、もう家か?》

「もうすぐ着くけど」

《だったら、俺を待たずに先に休め。ちょっと今日は帰れそうにない》

「え……何かあったの?」

税理士である兄は小さいながらも事務所を構えていた。

これまで日付が変ることはあっても帰れないということはなかったのに。

《いや、ちょっと顧問先に急に調査が入ることになったんだ。それも立て続けに、何件も》

ふつうはそこまで立て続くことなどない。

《しかも今回、税務署のほうがいやに攻撃的で、ちょっとバタバタしてる。まぁ、心配するな。どうとでもなる》

強がっているけれど、疲れているのがわかった。

「わかった、あんまり無理しないでね」

《ああ。わかってる。ひより、お前皆川駿也って男とつき合っているのか?》

「え……あ、うん」

兄に彼氏ができたことは伝えたけれど、細かいところまで教えるとあれこれと首を突っ込んできて面倒なので、詳細はごまかしていた。
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