【最愛婚シリーズ】俺に堕ちろ~俺様社長の極甘な溺愛包囲網
「こんな時間までどこに行ってたの?」

「お前、何言って……」

「直帰だって聞いてたのに、遅すぎるよ。それにお酒の匂いがする」

それと、かすかに香る知らない香水の匂い。

その状況の何もかもが、考えたくないのに最悪の事態を予感させる。

「ちょっと行くところがあったんだ。悪かったよ、連絡しないで」

ため息交じりに言われて、カッとなる。

どんな思いでこの数日間を過ごしたと思っているのだ。

「駿也、この頃おかしいよ。わたしのこと嫌いになったら、はっきりとそう言えばいいじゃない」

「何言ってるんだ。冗談言うなよ」

苦笑を浮かべる駿也の態度が、わたしの怒りを助長させる。

「冗談? だったら、どうして最近会えないの? 電話だって全然ないし、そもそも駿也ってば一日のうちにわたしのこと思い出すことある」

「おい、どうしたんだよ。ひより?」

やっとことの重大さに気がついたようだが、そのころにはわたしはもう駿也が何を言おうと、わたしの心には届かなくなってしまっていた。

「どうした……だって、こっちが聞きたいよ。昨日一緒に歩いていた綺麗な人って誰なの? 今日も会っていたんでしょう。香水の匂いがする」

駿也の顔色が一瞬にして変る。

それが答えだ。やましいことがないなら、そんな困惑に満ちた顔をするはずがない。

好きだからこそわかってしまうなんて、つらすぎる。
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