【最愛婚シリーズ】俺に堕ちろ~俺様社長の極甘な溺愛包囲網
まっすぐに駿也の顔を見る。彼もわたしを見ていた。

その目の中に悲しみや諦めのような悲哀の色を感じ、ズキンと胸が痛む。

「わかった。俺が至らなくてごめん」

キーンと耳の奥で高音が鳴り響く。目の前がどんどん色あせていく。

目頭が熱くなり、目に涙の膜が張っているのがわかった。

これ以上ここにいたら泣いてしまう。瞳から一筋涙がこぼれた瞬間、わたしは逃げるようにしてその場を走り去った。

嫌だって言って欲しかった。そんなこと許さないって、言って欲しかった。

けれど……彼はわたしと別れることを選んだ。

試すようなことをしたことを後悔した。それとともに、駿也が引き留めてくれる、わたしを愛してくれていると思っていたなんて、うぬぼれがひどすぎる。

とっくに、わたしの一方通行になっていたんだ。

いつしか小走りになっていた。できるだけ早く駿也の側から離れたかった。

胸が苦しくて息苦しいのは走っているせいか、それとも壊れてしまった恋の悲しみのせいか……わからないまま、わたしは走り続けた。
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