獣な彼の目覚める独占欲~エリート准教授に熱い夜を教えられました~
長い指でパンを千切りながら彼が聞いてくる。
「ここの掃除と洗濯済ませたら、私も研究室行くよ」
もうそれは私の日課。
鷹臣君に家事は任せられない。
洗濯機を回しても取り出さずにそのまま放置だし、料理だってりんごの皮を剥かせれば血まみれのりんごになって食べられない。
「いつも悪いね」
彼が少し申し訳なさそうに言うが、家事は好きだし、バイト代ももらっているから迷惑には思わない。
「いえいえ。でも、早くお嫁さんもらえば?」
常々思っていることを口にすれば、鷹臣君は謎めいた笑みを浮かべた。
「そうだね。ご期待に添えるよう頑張るよ」
おっ、前向きな発言。
さては……。
「彼女いるの?」
身を乗り出して聞くと、鷹臣君は落ち着いた様子で否定した。
「今はいないけどね」
その含みを持たせた言い方はなんなの?
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