夢原夫婦のヒミツ
幼い頃からずっと一緒にいて、蘭のことも佐介のこともすべてを知り尽くしている気でいたけど、まだまだ知らないことがお互いあるのかもしれないね。

だったら大和さんとはなおさらだ。

もっともっと大和さんのことで知らないことが、たくさんあるはず。彼だって私のことで知らないことも多いと思う。

だったらちゃんと話をして、これからお互いのことを知り合っていくべきだよね。

大和さん、今日休みだしタイミングを見て話してみようかな。家に帰って一緒に夕食を取って、少しゆっくりする時間にでも。

これから家に帰ってからのことを頭の中でシミュレーションしていると、佐介は私の様子を窺いながら尋ねてきた。

「なぁ、もし大和さんが俺と同じヘタレだったらどうする?」

「えっ、大和さんが?」

「あぁ。……愛実は大和さんのこと、カッコよくて優しくて頼りになるって思っているだろ? だけど抱いていた姿とは本当は違ったらどう思う?」

佐介の話を聞き、想像してしまう。

ヘタレの大和さん? 佐介みたいな?

「うーん……もし、そうならますます大和さんのことを好きになっちゃうかな」
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