夢原夫婦のヒミツ
「大丈夫か!?　愛実！」

「うん、大丈夫」

やだ、恥ずかしい。こんなに大勢の人がいる前で転ぶとか。

ジンジンと右足が痛むけど、平気なフリをしてすぐに立ち上がろうとしたけれど、足に力を入れた途端に激痛に襲われた。

「痛っ」

立ち上がることができず、うずくまる私に佐介は手を差し伸べてくれた。

「足を痛めたようだな。大丈夫か？　立てるか？」

「ごめん、ありがとう」

彼の力を借りて立ち上がろうとしたものの、なぜか手を差し伸べてくれている佐介は私越しに目を丸くさせる。

「……佐介？」

不思議に思い彼の名前を呼ぶと、次の瞬間、私の身体は急に宙に浮いた。

「――え、わっ!?」

びっくりして目を閉じ、色気のない声を上げてしまう。だけど次にしっかりと私の身体を支える大きな力を感じ、ゆっくりと瞼を開けると私を抱き抱えたのは、家にいるはずの大和さんだった。

「……大和さん？　どうしてここに」

ポカンとなる私には目もくれず、彼は呆然と私たちを見つめる佐介に鋭い視線を向けた。
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