夢原夫婦のヒミツ
もう何度も大和さんが運転する車には乗っているのに、今日は自分でも驚くほど緊張している。

佐介に対する大和さんは、いつもの大和さんじゃなかった。

あれが大和さんの本音だと信じてもいい？

なにも言わない彼をチラチラと見ていると、私の視線に気づいたのか大和さんは前を見据えたまま心配そうに聞いてきた。

「足、大丈夫か？」

「あ……はい」

「帰ったらすぐ手当しよう。……それから俺の話を聞いてくれないか？」

大和さんの話――。それは私が聞きたいことだよね？

「……はい。あの、私も大和さんに話したいことがあるんです！　だからその……聞いてください」

最後の方は声が小さくなってしまった。だけどしっかり大和さんの耳に届いたようで、彼の大きな手が私の頭をそっと撫でた。

「わかったよ」

そう言うと大和さんの手は離れていくと、寂しさを覚える。

お互いそれから口を開くことなく、彼の運転する車は自宅へと向かった。



駐車場に着くと、大和さんは断る私の身体を抱き抱え、部屋へと向かう。

途中同じアパートの住民に出くわして見られないかと、ヒヤヒヤしちゃったけど運よく誰にも見られることなく部屋に入ることができた。
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