夢原夫婦のヒミツ
「していないって……嘘でしょ!?」

「本当」

信じていない蘭に即答すると、彼女は目を白黒させた。

「やだ、本当に? だって愛実、うまくいったって言っていたじゃない」

「それは気持ち的な意味でうまくいったってことなの! ……あ、でもちゃんと夫婦らしいこともしたよ?」

前のめりになると、私につられて蘭も前のめりになり、私の話に耳を傾けた。

「大和さんと一緒に寝るようになったし、その……キスもたくさんしたし!」

恥ずかしくなりながらも伝えると、蘭は「中学生か!」と突っ込みながら、椅子に寄りかかった。そして呆れたように言う。

「よくもまぁ、大和さん我慢できたね。さすが大人だわ」

「えっ……我慢?」

聞き返すと、蘭は深いため息を漏らしてわざとらしく頭を抱えた。

「これだから恋愛初心者は」

そう言うと蘭は鋭い視線を私に向けた。

「愛実だって大和さんのことが好きだから、触れてほしいって思ったんでしょ?」

「う、うん」

彼女の迫力に圧倒させながらも答えると、蘭はすごい剣幕で続ける。
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