夢原夫婦のヒミツ
「その気持ちは私たち女より男の方が強いんだよ? それなのに大和さんに我慢させて、寝室を共にしているだと? そんなの彼にとって拷問以外のなにものでもないでしょ」

ご、拷問!?

「えっ! 私、そんなにひどいことを大和さんにしているの?」

半信半疑で聞くと、蘭はすぐに大きく頷いた。

「しているね」

即答する蘭に、頭の中でガーンという効果音が鳴る。

私は恥ずかしくて、だけど幸せな気持ちでいっぱいだったけど、大和さんは違ったの?

せっかく気持ちが通じ合ったと喜んでいたのに私、大和さんに酷いことをしていた?

ショックでなにも言えずにいると、ちょうど注文したパスタが運ばれてきた。

美味しそうな匂いが鼻を掠めるものの、食べる元気がない。

しかし私とは違い、蘭は器用にフォークに麺を巻き付けてパクパクと口に運んでいく。

「あんなに大和さんがなにもしてくれないって嘆いていたのに、どうしてキスより先に進めていないわけ?」

「それはっ……」

すぐに言おうとしたけれど、ここが飲食店ということを思い出して声を潜めた。
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