夢原夫婦のヒミツ
すると大和さんは私の肩に腕を回して、自分の方に引き寄せた。

「や、大和さん?」

彼に体重を預けるものの、密着する身体に戸惑いを隠せない。

どうしたんだろう、大和さん急に。

それなりに彼とのスキンシップには慣れてきたけれど、こうして突然されちゃうと緊張してしまう。

でも次第に彼のぬくもりが伝わってきて、こうして大和さんに抱き寄せられていることが心地よく思えてくる。

「俺も愛実と旅行に行けるなら、どこでも嬉しいよ。……でも愛実に楽しんでもらえないと意味がないから。もし、俺に気遣ってとかだったら、本当に行きたいところを教えてほしい」

「大和さん……」

結婚したのに、こういう何気ないやり取りで私はまた大和さんのことが好きになる。

「ありがとうございます。でも本当に私、沖縄に行ってみたいんです」

胸をときめかされながら伝えると、大和さんは「わかったよ」と言いながら、さらに強い力で私を抱き寄せた。

「じゃあ行き先は沖縄にしようか」

「はい」
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