夢原夫婦のヒミツ
夕方にはこっち着くって言っていたし、そろそろ帰ってくる頃だよね。

疲れているだろうからお風呂にすぐに入れるように、沸かしておこう。

スイッチを入れて再び料理に取りかかった時、玄関の鍵が開く音がした。

帰ってきた……!

火を止めて急いで玄関へと向かうと、そこには二週間ぶりに会う大和さんの姿があった。

「ただいま、愛実」

私を見ると優しく微笑む彼に、堪らず駆け寄り勢いそのままに抱き着いた。

「おかえりなさい、大和さん」

そしてギューッとしがみつくと、大和さんもそっと抱きしめ返してくれた。

「ただいま」

大和さんだ、大和さんが帰ってきたんだ……!

嬉して涙が出そうになる。久しぶりに大和さんのぬくもりを感じると余計に。

しばし大和さんのぬくもりに酔いしれていると、大和さんはやんわりと私の身体を引き離した。

「えっと……悪い、愛実。俺匂うと思うからあまりくっ付かないで」

「えっ? 全然匂いませんよ」

キョトンとなるものの、大和さんはだめと言う。
< 227 / 244 >

この作品をシェア

pagetop