夢原夫婦のヒミツ
たしかにお母さんの言う通り、蘭の家はこの辺の集落の中でも、特に山間にある。だからこそ早めに避難したのかもしれない。

居間から縁側の方へ視線を向ける。ガラス窓の外ではまだ大粒の雨が降っていた。

みんな大丈夫だって言うけど、本当に大丈夫なのかな。

心配しながらも、家族で過ごしていると次第に雨は弱まり、夕食時には天気予報通り雨が上がった。

「やっぱり天気予報は当たるわね。どれ、明日からまた農作業をしないとだし、早く寝ないとだな」

「そうですね。愛実も明日は学校大丈夫だろうし、あまり夜更かししないで早く寝なさいね」

「はーい、おやすみなさい」

夕食後、順番に入浴を済ませると両親や祖父母は、早々と寝床に入る。

みんな朝早く起きて、畑に向かうからだ。私も大型連休や収穫時期は手伝っているけど、大変な仕事だと思う。

ひとり娘の私は、本当だったら家業を継ぐべきなのかもしれないけど、寛大な両親たちは私の好きなことをしなさいと言う。
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