夢原夫婦のヒミツ
しかもなに? 意識がないのに私ってば掴んだ服を離さなかったって。そのせいで自衛隊員の人が一緒に救急車に乗り、病院まで私を抱えて運ぶ羽目になってしまったようだ。

それなのに覚えていないなんて、最低過ぎる。

「お礼……ちゃんと言いたかったな」

記憶が曖昧で、よく覚えていないけど、とにかく助け出されるまでずっと苦しかったのは覚えている。

辛くて、もうだめかと思い怖かった。その中からこの迷彩服の持ち主が私を助け出してくれたんだ。

再び迷彩服を眺める。

土がたくさんついていて、これを見ているといい加減、現実を受け入れないといけないと思わされる。

私の家は土砂崩れに巻き込まれて、私はこの服の持ち主に助けられたって。

綺麗に光り輝く星空を眺めながら、感謝の思いでいっぱいになっているのは、生きているからだって。

こんな悲しい現実を、受け入れたくないけど……悲しくて辛い気持ちになれるのは、私の命を救ってくれた人がいるからだ。
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