夢原夫婦のヒミツ
高校を卒業して一歩大人の大和さんに近づけたと思うから。それに合格祝いとか、そういった理由がないと会いたいって切り出しづらいし。
そんな思いで大和さんの手紙に綴る前にふたりに相談したものの、蘭と佐介は顔を見合わせた後、私に微妙な顔を向けた。
「うーん……会う前にさ、まずは電話で話すとか文通からメッセージのやり取りに代えることの方が、先じゃないかな?」
「……そう、だよね」
大和さんの電話番号は知っている。センター試験前に伝言をくれた時、しっかりと電話番号を登録しておいたから。
でも一度も電話で話したことがない。それに今も彼とは文通でやり取りを続けている。
だから蘭の言うことには納得できるんだけど……心のどこかで納得できていない自分もいる。
私、すごくすごく大和さんに会いたいから。手紙のやり取りで募らせてきた想いは、いつしか溢れ出し止める術がない。
だけど佐介は蘭よりも厳しい口調で言った。
「冷たいことを言うようで悪いけど、愛実はなにもわかってなさすぎる」
「――え」
佐介は真剣な面持ちを見せた。
そんな思いで大和さんの手紙に綴る前にふたりに相談したものの、蘭と佐介は顔を見合わせた後、私に微妙な顔を向けた。
「うーん……会う前にさ、まずは電話で話すとか文通からメッセージのやり取りに代えることの方が、先じゃないかな?」
「……そう、だよね」
大和さんの電話番号は知っている。センター試験前に伝言をくれた時、しっかりと電話番号を登録しておいたから。
でも一度も電話で話したことがない。それに今も彼とは文通でやり取りを続けている。
だから蘭の言うことには納得できるんだけど……心のどこかで納得できていない自分もいる。
私、すごくすごく大和さんに会いたいから。手紙のやり取りで募らせてきた想いは、いつしか溢れ出し止める術がない。
だけど佐介は蘭よりも厳しい口調で言った。
「冷たいことを言うようで悪いけど、愛実はなにもわかってなさすぎる」
「――え」
佐介は真剣な面持ちを見せた。