夢原夫婦のヒミツ
余裕ない声で聞くと、すぐに彼は答えてくれた。

『仕事だけど、あと三十分もすれば終わると思うよ。だから会えるよ』

「ありがとうございます!」

すぐに大学を後にした。

大和さんに会いたいですと連絡を入れて、心配した日比谷さんが近くまで車で迎えに来てくれて。
私は無事に仕事終わりの大和さんに、会うことができたんだ。

武志さんとふたり、寮がある基地の前で待っていると迷彩服姿の彼が、焦った様子で駆け寄ってきた。

「愛実ちゃん、どうしたの急に。……武志も! 連れてくることないだろ!? 俺から会いに行ったのに」

大和さんに責められているのに、武志さんはどこか面白そうに言う。

「えぇー、だって可愛い愛実ちゃんに大和に会いたいって相談されたら、願いを叶えたいって思うのが普通だろ?」

「だからってなぁ……!」

怒る大和さんに、慌てて間に入った。

「日比谷さんは悪くありません! 私が大和さんに会いたいって言ったら、迎えに来てくれたんです」

必死に訴えると、大和さんは神妙な面持ちで口籠った。
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