mirage of story
"ライルよ、よく自らの力で気が付いてくれた。
........我が契約者の、その本当の存在に。
これで君はもう、何もその力を縛るものは無くなった。
君は、これで本当の意味で強くなった"
水竜がライルに笑った。
炎竜も笑った。
本当の意味で強くなった。
ライルの心にその言葉が、じんわりと芯まで染み渡る。
今までルシアスの仇を討つためだけに生きてきた自分。そのためだけに上辺だけの強さを求め磨いてきた自分。
全てがもうライルにとって過去となり、今のライルはその過去を冷静に見据えた。
ルシアスを守りきれなかったあの頃の自分にも。
自分の哀しみを隠すために、他の哀しみを何層にも塗り重ねてきた自分にも。それに気が付かなかった自分にも。
ライルは今、此処でその全てに別れを告げた。
"さぁ、君と彼女の運命にけじめは付けられた!
今こそそのけじめを胸に、新たに動き始める時ぞ!
.......そして向かい合え、君達が巻き込まれてしまったその運命の結末に"
―――――ッ。
紅と蒼。
二匹の竜がカッと目を見開き空を仰いで嘶く。
二匹の竜が美しい線を空に描きながら絡み合うようにして、天へと上る。
そして裂けた雲のそのまた上。
その遥か遠くで二匹の竜は重なり、二匹は一匹神々しい光の竜になる。
裂けた雲の隙間。
そこから光の竜から零れ落ちた光の欠片が地上から見上げるライルに、そしてその腕に抱かれる彼女に降り注いだ。
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