mirage of story











"これほどまでに焦らされたのは、古よりこの時まで生きて初めてぞ?

........全く、お前の契約者も困ったものだな。炎竜"








ブワアァァァッ。

空から注ぐ声が笑い、それからその声のする方から唐突に風が舞い落ちた。


明るくなりかかっていた空を覆う白い雲のベール。
それが風により引き裂かれ、その隙間からより明るい光が零れる。







「なっ!」



空から注ぐ風に思わず目を伏せてしまう。
それでも風に引き裂かれた空の向こうに何か神秘的なものを感じ、それをどうにか捉えようとライル薄く目を開きその先を見続ける。












"............久しいな。
我が、同胞よ"



裂かれた雲。零れる光。
その向こうの神秘的な何かは、その雲も光も纏い地上へと舞い降りる。











戦場の大地。
その上に広がる空に、美しい二匹の竜。

紅と蒼。炎と水。
この世で他に一つとない、最上級の美しさを纏う人とは遥かに異なる竜の姿。












「.......水竜」



その美しい姿に、人は誰しも見とれる。
ライルも例外ではなかった。


水竜。
それはライルの大切な人の持つ指輪に宿る、蒼き竜。
自らが運命を共にする炎竜と対なる存在であり、また何よりも近い存在。








.
< 1,032 / 1,238 >

この作品をシェア

pagetop