mirage of story
ブワッ。
声がして、風が一瞬巻き起こったかと思えばもうそこに声の主は居ない。
周りを見て上を見ても、そこは広がる虚空。
竜はやはり人知を越えていると、残された三人は関心して頷いた。
「それじゃ、俺達も動こうか!
嬢ちゃんは、まだ身体が辛そうだが大丈夫かい?
なんなら俺が背負って差し上げましょうか、姫様?」
「だ、大丈夫です」
ふざけているのか、それとも案外真面目に言っているのか。
真意は不明だが、竜が消えた虚空からシエラに視線を移してジェイドがヘラッと笑いながら手を差し伸べる。
シエラはその差し出された手を丁重にお断りして、フッと一歩踏み出した。
一歩踏み出した彼女をきっかけに、ジェイドもライルも続くように歩く。
今までシエラとライルを守っていた光のベールは、いつの間にか消えていてジェイドの横に並んだ彼等の頬を静かに世界に吹く破滅の空気が撫でる。
一瞬、ゾクッと寒気がした。
「足元が脆くなってる。
十分に気を付けて行こう」
「あぁ、そうだな。
お二人さんこっちだ。
さぁさぁ、向こうでお仲間がお待ちかね!
あんまり待たせると俺が怒られちまうからなぁ、早いところ合流するか」
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