mirage of story
〜4〜









幼い頃に植え付けられた幸せな記憶。

大切な人達と沢山出逢いそして別れた、悲しかったり嬉しかったりの幾重の感情。
過ごした日々に思いを馳せれば、湧き上がるように止め処なく思い出が冴え返る。






たった十八年。
でもその中で、人として自分として在るべき正義を貫いて前を見て生きてきた。

他の誰でもない、たった一人の自分として生きてきた。
自分の意志で、此処まで生きてきた。










..........。
そう思っていた自分が、今となっては馬鹿馬鹿しい。

全てが仕組まれたことだとは知らないで、全ては闇の陰謀の上に成り立っていた現実だということは知らないで。
ただただ生きていた自分が、恨めしい。






キイィィンッ。


..........そして今こうやって、過去を思い剣を握る自分。
まさかその刃の先に居るのが求め焦がれた父だとは、ほんの数日前には想像することさえ出来なかった。












「―――――決着を、全ての真実に対しての決着を着けに来ました。

貴方が犯した罪も、俺の背負う罪も.......全部此処で決着を着けます」



手にした剣を握り直す。

決着を着けに来た。
自分で発した言葉が重く身にのし掛かる。



父と自分に対しての決着。
今まで生きてきた......生かされてきた人生への決着。

沢山の意味を成す決着を、着けるために此処に来た。










「.........俺は、貴方を斬ります。

そして俺は貴方と、共にこの世界から消えるつもりです。
今まで貴方と俺が皆に与えてしまった憎しみや哀しみ、そんなものを全て背負って」




この世界から消える。
それは決して軽々しい意味の言葉ではない。

死ぬという言葉よりずっと重く、ずっと怖い。



そんな言葉を本気で発する覚悟さえ出来ていた。







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