mirage of story













「一つ貴方に問います。

........貴方は、俺の父と交わした契約を覚えていますか?」




"何を今更―――小僧、恐怖に気が可笑しくなったか?"






手を伸ばせば、触れ合うような至近距離。

その光景を目にすれば勝者と敗者の図は明らかで、勝者である側の意志で敗者である方をどうにでも出来る。
そんな状況だった。




だが誰がどう見ても敗者である側......つまりカイムは勝者であるはずの闇を前に何も動じはしない。


恐怖から、身が竦み動けないのか?

いや、それは違う。
彼の瞳はその闇を、絶対的な勝者を微塵も恐れてはいなかった。





















「貴方に、俺は殺せません」



あまりに冷静であまりに落ち着いた瞳に、一瞬闇が歪んだ。







"黙れ、小僧!"



気分を害した闇が、カイムとの間にある緊迫した空間の一線を越えてカイムに襲い掛かる。

か弱い人の身のカイムは、呆気なくその闇へと飲み込まれていく。














―――ギイィィンッ。

だが、両者の間に突如迸るのは得体の知れない強い力。
その力が触れ合うほどに縮まった両者を、まるで反発する電極のように弾き引き離した。









"グッ.....!"



驚いたのは、闇の方だった。








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