mirage of story












「................貴方は俺を殺せない。

俺は貴方によって、貴方と父が交わした契約によって生かされているから。
父と貴方の契約が完全に果たされない限り、貴方は俺を殺すことは出来ない」





何かの力によって開いた距離。

たが弾かれるような感覚が働いたのは、カイムに食らいつこうとした闇だけ。
カイムは何にも動じることもなく、先程と全く同じ場所に立ち闇色の竜と状況に取り残されたように立ち尽くすロアルを見ていた。












「貴方と父が交わした契約なんだ、貴方が一番よく分かっているはずですよね?

..........父が貴方に求めたのは、息子を―――俺を生き返らせることだった。俺を生かすことだった。
そして貴方がその願いを叶える代償に願ったのは、父を利用しこの世界を崩壊させることでした」




"............お前は何が言いたいのだ?"





弾き飛ばされた闇が、怪訝そうに瞳を歪めてカイムを睨みつけて言う。

荒げる息を抑え、猛々しい感情を堪えた声は心なしか先程よりも低く感じた。















「貴方と父の交わした契約。

父が願った願いは貴方の力によって成された。
........けれど貴方の願いは、世界の崩壊はまだ成されていない。


つまり、まだ契約は続いていて終わってはいないんです。
契約が完全に果たされていない限り、契約によって生かされている俺の命を貴方が奪うことは出来ない」






静かな空間に声が響く。
その声の振動で僅かに空気が揺れ、まだ薄く土埃に汚れた空気が散る。


それからフワッと空からの風が注ぎ、薄く汚れた空気と両者の間に立ち回る数秒間の沈黙をゆっくりと何処かへ吹き飛ばした。













"............ハハ.....フハハハッ!

全く、お前の息子は何処までも忌々しき小僧よ。
お前に似たのかもしれぬ。.........なぁ、ロアルよ"








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