mirage of story
〜5〜








遠くからの咆哮。
再びの世界の異変、再開された崩壊へ導く攻勢。

理由は分からないけれど、最初の異変が静まり停止していた世界がまたボロボロと脆く崩れ始める。













「きゃっ!」


「おっと......大丈夫かい、嬢ちゃん?」




前触れもなく再び轟音を上げ揺れ始めた大地に、その震源から遠く離れた場所へとやってきていたシエラは思わずよろける。

そのシエラを前に居たジェイドが振り向き様に抱えた。











「.........また破壊が始まったようだな」



そう言うのはライル。
ライルはよろけるシエラを大丈夫か?と気遣いながら、怪訝そうに元凶を見つめた。












「うーん、困ったねぇ。
早いとこ何か手を打たねぇと、そう長くは保たないな」



ジェイドは対して困ったようでもなく言う。

世界の危機を前にしているのに、彼はどこまでも変わらない。
シエラとライルは、ほんの少しだけ羨ましく思った。











「.................お、あれは。

ふーん、ちゃんと集まってるじゃないの。
感心感心♪」



そしてヘラヘラとしたジェイドはシエラとライルを余所に、わざとらしく何かを見つけた仕草をして歩く先を指差す。

指を差され見るように促され、意識をその先に映すとそこには崩れかける大地の上に無数の影。
数え切れない程の人影。








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