mirage of story













..........。

.......ワアァアッ!



もう本当に、どうすることも出来ないのか。

そう濃厚すぎる諦めに世界が飲み込まれる寸前、聞こえてくる人の声。
大勢の、人の声。













"見るが良い、同朋よ。

........お前が思うよりもずっと人というものは強いのだ。
このような状況、世界が終わるというこの状況を前にして人は互いに手を取り合い決して諦めない。

人は一人きりでは何も出来ない弱い存在だが、誰かを守るために立ち上がり手を取り合った人は格段と強くなる。
その力は、我等にも計り知ることは出来ない"




光が見下ろす闇の地上。

そこへ集まる人、人。
闇の中、武器を手に仲間の手を取り集まる人の波。



ちっぽけなくらいに小さい、人の影。
だが集まるその影は積もり積もって、大きく一つになっていく。

そこにはもう、ついこの前まで啀み戦っていた魔族と人間の境は無い。
手を取り合う姿には、もう過去の面影は一切無い。
















「この戦い、此処で終わらせるぞ!」



誰かが叫ぶ声に、続く雄叫びは共鳴し合う。


一人一人の声は小さい。
だがそれが空間の中で折り重なって増幅する。

気のせいだろうか。
その人の雄叫びに、竜の闇色の咆哮が一瞬掻き消えた気がした。










"...........フンッ、虫螻どもめが。

まだこれほどまでに生き残っておったか。
しぶとく図々しい生き物よ。

だが幾ら虫螻が集ろうとも、定められた世界の末路はもう変えられぬ。
滅び行くだけの者が幾ら最期を前に騒ぎ立てようとも、何も変わりはせぬぞ!"







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