mirage of story
「......はぁーい」
王からのその言葉に、話し続けていたルシアスはパッと止まり少しシュンとした声で答える。
「ちゃんと分かってるんだか。
―――すまないね、ライル。このバカ娘にいつも付き合ってくれて」
「いや....もう慣れました」
ライルは、そう言い王と顔を合わせて笑った。
隣では、『バカ娘じゃないもん!』とか『ちょっとライル、何言ってるのよ!』とか嘆いているが、今は気にしないようにしておこう。
そしてライルは、ちらっとルシアスを見て...心の中で舌を出す。
(さっきのお返しだ!)
自分が結構悩んで選んだルシアスの誕生日プレゼント。それをあれだけ貶した仕返しだ。
喜んでくれると思っていたのに、あんなに非難されてまだ幼きライルの心は実は結構傷付いていたりしてした。
誕生日プレゼントに選んだあの一本の花。
たった一本の花だけれど、ライルには思い出の詰まった花だった。
ルシアスとの思い出が、たくさん詰まった花だった。
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あれは、まだライルが小さな頃。
あの日、ライルが父親に連れられて初めてこの城に来た。
父親が王と話をするために、どこかに行ってしまい一人取り残されてしまったライル。
しばらくはおとなしく父親を待っていたライルだが、とうとうつまらなくなって一人、城の中を探検することにした。
(.....広いなぁ、このお城!)