mirage of story
どちらからも強い力を感じるのだがその力は違うものなのだと、ライルは思った。
ふと、気付けばライルは無意識のうちにその指輪を手にとっていた。
「あ....すいません!俺、勝手に触っちゃってっ!」
ライルは急いで、指輪を王の手のひらに戻す。
「いや、いいのだよ。
ライル。この指輪はさっき私がルシアスに渡したものと対になるものだ。
ルシアスに渡した指輪は、竜刻の指輪の一つ水竜の指輪。そしてこれが.....」
一旦そこで言葉が切れる。
「―――炎竜の指輪。
世間から忘れ去られたもう一つの竜刻の指輪だよ」
炎竜の指輪。
初めて聞いた言葉のはずなのに.....ライルには、何だかずっと前から知っていた気がした。
(......何だろう、この感じ)
「竜刻の指輪は、この地に古くから伝わるものだ。
......この指輪には、とても強い力があってね。強い魔力を持った選ばれし者にしか、扱えないんだ。
そして、指輪に認められた者だけが契約者となり指輪と命を共にするんだ」
強い力。
選ばれし者。
(そんな凄い指輪を.....一体どうしろっていうんだろう。この俺に)
ライルは、そう思った。