mirage of story
〜2〜
二人が駆け付けた頃には、もう誰の姿も残されていなかった。
まさに裳抜けの殻。
目の前の光景に落胆が広がる。
「一足遅かったか」
ロアルは何もないただの広がる大地を前に眉間に皺を寄せて悔しそうに舌打ちをする。
「........やはりもう逃げたようですね。
さすがは小賢しい人間だ。逃げ足だけは早い―――くそっ」
ロアルの隣で、静かに見ていたライルは憎しみの籠もった声を大地に響かせる。
彼にしては低く、聞くものに恐怖を与えるような威圧的な声をもぬけの殻となった大地に吐き捨てた。
.......。
今、この二人が立っている大地。
そこは昨日ライルたちがこの世から葬り去った人間たちの村があったはずの場所。
家も、木も......人も全てを消し去ったはずのこの大地に二人は、始末を付けるべく一夜の時を隔てて、舞い戻ってきた。
もう一つの果たすべき目的のために。
それなのに、そこに目的のものはなかった。
そんな静かすぎる誰もいない大地を前に、ライルよりも更に低いロアルの低い声が響く。
「捜すのだ、この付近をしらみ潰しに。
昨日の一件であの女は酷い痛手を負ったはずだ。
そう遠くには行けまい」
それは会話ではなく命令。
ッ。
ライルはそのロアルの言葉に、胸に手を当ててロアルにそして自分自身に誓うように答える。
「はい。隈無く捜してみます。
安心して下さい.......絶対にあの女を、アイツラを逃しはしません」
.
二人が駆け付けた頃には、もう誰の姿も残されていなかった。
まさに裳抜けの殻。
目の前の光景に落胆が広がる。
「一足遅かったか」
ロアルは何もないただの広がる大地を前に眉間に皺を寄せて悔しそうに舌打ちをする。
「........やはりもう逃げたようですね。
さすがは小賢しい人間だ。逃げ足だけは早い―――くそっ」
ロアルの隣で、静かに見ていたライルは憎しみの籠もった声を大地に響かせる。
彼にしては低く、聞くものに恐怖を与えるような威圧的な声をもぬけの殻となった大地に吐き捨てた。
.......。
今、この二人が立っている大地。
そこは昨日ライルたちがこの世から葬り去った人間たちの村があったはずの場所。
家も、木も......人も全てを消し去ったはずのこの大地に二人は、始末を付けるべく一夜の時を隔てて、舞い戻ってきた。
もう一つの果たすべき目的のために。
それなのに、そこに目的のものはなかった。
そんな静かすぎる誰もいない大地を前に、ライルよりも更に低いロアルの低い声が響く。
「捜すのだ、この付近をしらみ潰しに。
昨日の一件であの女は酷い痛手を負ったはずだ。
そう遠くには行けまい」
それは会話ではなく命令。
ッ。
ライルはそのロアルの言葉に、胸に手を当ててロアルにそして自分自身に誓うように答える。
「はい。隈無く捜してみます。
安心して下さい.......絶対にあの女を、アイツラを逃しはしません」
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