mirage of story
 
 
 
 
 
 
ライルはそう言い、その場から立ち上がり
サッと身を翻すと、急ぎ足で丘の方へと駆けていく。 





「........奴を取り逃したのは惜しいが、今回の一番の目的は果たせたか」




背を向けて遠ざかるライルの姿に、ロアルは一人
不気味な笑みを溢した。





「────さぁ、これから愉しい楽しい舞台(かり)の......始まりだ」




取り囲む自分しか居なくなった瓦礫たちの真ん中で
呟くように、囁くように零れ落ちた言葉が


酷く寂しく、そして残酷に響き渡った。







 
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