mirage of story




 
 
 
 
 
今は無き彼女の故郷。
そこで対峙した天敵ライル。

復讐に駆られる彼に命を狙われどうにか逃れたシエラとカイム。
そんな逃げ切った二人が、気持ちを新たに初めて辿り着いたのがこのランディスの街である。





本当はもう少し近くにも街は在ったのだが、その街にはもう既に追っ手が来ているだろうと考えた。
なので二人は敢えて逃げてきた方向から少し進路を変え、少し遠いこの街を初めの到着点に定めたのだ。









「───人が見当たらない」



街の様子に驚きを抱えつつ、奥へと足を進み続ける二人。


進んでも進んでも、人の影すら見えない街の中。
人が居るのか疑わせる程に街の中は静かだった。









「本当に、此処はランディスよね?」



この異常な程の静けさ。
だんだん不安になってきた彼女は思わずそんな言葉を零す。







「.....来る途中に道間違えたのかしら?
私、方向音痴には自信あるし」



「いや、変な事に自信持っちゃ駄目だって」





真面目な顔をして言う彼女に、カイムは苦笑いをして彼女を見る。



――――。ッ。
そんな彼の視線は不意に彼女から逸れてある一点でピタリと止まる。

隣を歩くシエラの姿。
その彼女の姿の先に彼はあるもの捉える。









「あ....」


「ん?」




ある物を視界に捉え、思わず声を上げる。





「シエラ、道は間違ってなかったみたいだ!
ほら、あれ....!」




自分を不思議そうに見返す彼女に、そう言い自分の視線のその先を指差す。

ッ。
彼女はその彼の指差す先を素直に辿りその先の何かを見付ける。






 
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