mirage of story
「やっぱり何かあったのか。
だが幸い街の人は無事のようだ.......シエラ、俺たちも行こう?」
「え、えぇ!」
「───?
シエラ、どうかした?」
何か可笑しい彼女の様子にカイムは顔を覗き込む。
ッ!
だが今の彼女にはその行動は逆効果。
急に飛び込んできた彼の顔が得体の知れない心の動揺に拍車を掛ける。
「カ、カイム!
ほら!私達も早く行きましょうよ!」
どうしてだか早くなる動悸。
シエラは彼の顔を見てられずに早足で前を行くネビアの姿を追った。
「なっ!
待てって、シエラ!」
ダッ!
カイムの頭には沢山の疑問符。
そんな疑問符が浮かんだままに、彼は彼女の後を追い掛けて廃墟の先の闇の中へと溶け込むように消えていった。
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