mirage of story
〜7〜






廃墟の僅かな隙間から覗く、夜空の月。


そんな闇の中に煌めく月が、空に淡く滲むように浮かぶ中で
カイムは一人静かに見上げていた。






「.........俺は.....この街が、奴らの手で消されてゆくのを 
ただ────待つことしか出来ないのか?」




カイムは、覗く月明かりに独り言のように呟いた。


その言葉は、零れる吐息と共に消え行き

月明かりに照らしだされた自分の影が、薄明るい部屋の中を飾った。







─────コン....コンッ。

静かな小さな部屋の中に、ノック音が響く。





「────カイム....入るよ?」





「......あぁ、どうぞ」





ガチャ────。

ドアが開く音がして、一つの影が部屋の中へと入ってくる。



その影は、ゆっくりと近付き.....振り向かずまだ夜空を見上げているカイムの前で
足を止めた。







「......シエラ、どうしたんだ?
────眠れないか?」




カイムは、後ろに居る影の主.......シエラに言った。





「.......いや、ちょっとカイムと話がしたかっただけ。
────カイム.....今、何してたの?」






 
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