mirage of story
「....ん?」
「.....凄く恐い顔してる。
────やっぱり、何かあったの?」
シエラに言われて、ハッとする。
自分では気付いていなかったが、自分の中にある強い思いから力が入って、眉間に皺が寄ってしまっていたみたいだった。
それに気が付いて、カイムは表情を元の穏やかなものに戻す。
(─────そういえば.....
まだ、シエラに俺の村のこと話してなかったな)
カイムの中に、不意にそんなことが過る。
(.......話さなきゃいけないよな)
今までは、話す時がなくて言わなかったが
いつまでもこのまま黙ってるわけには.....いかないだろう。
自分の村が───消えたことを。
(────でも、今はこの街のことがある。
話すのは、もう少し後の方がいいかもな)
「カイム......?」
「あぁ.....ごめん。俺は本当に大丈夫。
────さぁ、シエラも疲れてるだろ?
そろそろ休んだ方がいい。
シエラは、まだ怪我も治ってないしな」
今は、この街のこととかシエラの身体のことの方が
優先順位が上だ。
カイムはそう思い、頭に浮かんだことを奥へと押しやって
笑顔を作ってシエラに言った。