mirage of story
〜8〜






「じゃあ.....おやすみなさい」



シエラは、そう言い軽く笑って部屋を出た。






シエラたちのために用意してくれた廃墟の中の小さな部屋。

その部屋の中へ、カイムの部屋から出ていったシエラは戻ってきた。






(─────カイム.....大丈夫かな?)




シエラは、備え付けの小さなベッドに寝転がる。

そしてそのまま俯せになって、枕に顔を埋めた。



ベッドに寝転がると、一気に疲れが襲ってきて暫くそのままの状態で静止する。


ベッドの上で暫く安息を楽しんだ後、シエラは仰向けになった。

その脳裏に、さっきのいつもと何か違うカイムの表情が浮かび上がる。






恐い程、真剣な瞳。

その瞳が頭の中から離れない。





(.......やっぱり、何かカイムの様子がおかしかったよね。

それは、この街が......こんな状況で放っておけないから?)





シエラは、ボロボロになってしまった廃墟の壁を指先でなぞった。


なぞった指の後から、ポロポロと白い粉が舞い落ちる。
そしてなぞった指は、心なしか白くなっていた。






(......でも、何か違った。
何かが────)




哀しげに陰るカイムの顔。

静かに月を見つめる.....真剣で何か思い詰めたような瞳。



あの悲しすぎる瞳は、シエラが考えるより深い意味が隠れている。
そんな感じがした。




思い出す度、シエラは心配になった。






(.......カイム、何か凄く真剣で────何か一人で....抱え込んでる
そんな感じだった)






 
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