mirage of story
 
 
 
 
 
 
大丈夫か?
そう声を掛けようとしたカイム。


だが、その言葉は突然の何者かの声でかき消された。






『─────カイム』



唐突に聞こえたその声が、もう薄暗くなってきた外の景色に溶け込むように静かに響き渡った。




ッ。

それは、幼きカイムが追っていたその先からスッと現れた。






『「お父さん......」』
 


幼い頃の、そして今のカイムは声を合わせて呟いた。


目の前に現れた一つの影。姿は見えるが顔ははっきりとは分からない。

だがその正体は、紛れもない若き頃のカイムの父だと分かった。 







(.........ッ!)



これは夢。
これは......夢の中。

それは、分かってる。




だけど.....言葉にならない程の感情が沸き上がってきた。






『..........お父さん』



幼いカイムは、弱々しく父の影に手を伸ばす。

だが、その手は父の元に届かぬままスッと力が抜けて地面へと、力なく落ちる。





走り疲れて、気を失ってしまったのだろうか? 
ぐったりとした彼の身体は、ピクリとも動かない。






 
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