mirage of story
カイムは後ろを振り返る。
視線を送る先は、暗くて物音一つしなかった。
どうやら誰も起こさずに済んだようだ。
カイムは、少し安堵して再び入り口から外の様子を覗き込む。
「──────.....だな...」
(.......声?)
静寂なはずの廃墟の外側から、うっすら声が聞こえてきた。
何を言っているかは聞き取れなかったが、カイムは反射的に壁の陰へ身を隠した。
(.........この街の人か?)
カイムは、声の主を確認するために壁へと耳を押しあてる。
押しつけられた耳の中に、ザーッとノイズが流れた。
「........これで準備は、整いました!」
またカイムの耳が、声を捉えた。
その声の主は、誰かに話し掛けるような口調。
聞こえてくる口調から判断すると
廃墟の外側に居るのは、一人だけではないようだった。
(......一体、誰だ?)
カイムは、更にその会話を聞こうと押しあてた耳を澄ます。