mirage of story
〜11〜





風が不気味な音を上げ、蝕み始めた街の中。



廃墟の外へと出たカイムたちが見たのは、跡形もなく崩れた廃墟と

街の真ん中で、逆巻く様な渦を巻く黒い風だった。






(.......風の渦が、さっきより確実に大きくなっている)




さっきまでは、ほんの小さな風の渦だったのが

たったこれだけの時間で、街の半分を覆う程の大きさになっていた。
渦の中に蠢く闇も、明らかに増殖していた。






「何だ....これは」




カイムと共に出てきた街の人たちは目の前の光景に、驚愕の声を上げる。

こんなもの、自然と生まれるわけがないのだから
誰にとっても、初めて目にする異質のものであることは間違いはない。



当然の反応だ。






(.......急がないとな)




黒い風の渦が巻き起こす、凄まじい程の風の中
事態に緊迫感を改めて感じた。 






「────敵の姿は、ありますか?」



カイムは落ち着きを保った声で、自分に続いて外へ出てきた村の人達に尋ねる。






「......いえ、敵の姿は見えないです」





一人が、壁の後ろから覗き込み答える。

風があまりに強くて、目を開いているのも辛そうだ。





「そうですか.....」







 
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